竹野健太郎のボディワーク

KENTARO TAKENO

竹野健太郎

1984年11月東京生まれ、埼玉育ち。双子(息子と娘)の父。

2004年、フィットネスクラブでトレーナーとしてのキャリアを開始し、さまざまなスポーツチーム、部活のコーチを経験。プロスポーツ選手の帯同トレーナーとしても順調にキャリアを重ねるなかで、怪我に強いコーチでありたい、という想いから、外傷に対して処置ができる「柔道整復師」の国家資格を取得。コーチ業と並走する形で、整形外科や整骨院で、外傷や痛みなどの疾患に向き合う経験を重ねる。

2018年、6年間院長を勤めた整骨院を退職し、ボディワーカーとして独立。現在は、個人の方向けに、一人一人の身体の状態に合わせたボディワークセッションを提供している。これまでのキャリアで培ってきた、治療・メンテナンス・トレーニングを組み合わせながら、身体づくりに寄り添うパートナーとして活動するほか、法人やスポーツチームでのセミナー・講演・研修も行っている。

保有資格

柔道整復師

  • National strength and conditioning citified personal trainer
  • National strength and conditioning citified strength and conditioning specialist

テクニック

Integrative Movement Assessment & Conditioning

IMAC (*1)では、東洋医学と西洋医学、手技と動き、構造と機能を統合していきます。解剖学とバイオメカニクスに基づき客観的に評価できる可動域を通して筋肉・自律神経・臓器・神経リンパ反射点の関係を検証し、経絡と陰陽五行論も含めて全身の状態を把握し、調整していく方法です。

  • (*1) 活用IMACとは可動域・内臓のリンパ反射点・東洋医学を活用したコンディショニング方法です。詳しく見る

セミナー・講演実績

2017年
BODY DESING ASK主催:足首と手首の触診セミナー
2018年
BODY DESING ASK主催:定期触診セミナー開催(月1回のセミナー・現在も開催中)
2018年
IMAC勉強会(月1回開催・現在も開催中)
2018年
IMACセミナー・アシスタント講師
2019年
Rolfing Faste主催 可動域から考える呼吸について
2020年
合同会社Quest ストレングトレーニング研修担当(月1回開催・現在も開催中)

執筆

2018年
トレーニングジャーナル3月号 特集記事 呼吸と姿勢

経歴・チーム指導実績

  • 狭山丘高校サッカー部(2009〜2011)
  • 西武台高校柔道部(2009〜2011)
  • 坂本整形外科リハ科(2011〜2012)
  • 東陽町すこやか整骨院・院長(2012〜2018)
  • 東京大学医学部アメリカンフットボール部(2019年~現)
  • アスリート指導実績 LPGA女子プロゴルファー帯同(2008年)
  • 男子プロテニスプレーヤー(2008~2011年)
  • フリースタイルスキーヤー(現)
  • パラアスリート・アルペンスキーヤー(現)
  • 合同会社Quest 育成アドバイザー・パフォーマンスディレクター(現)

EPISODE 01

好きなことが
苦痛になる怖さ

野球漬けだった学生時代。甲子園、その先のプロ野球選手を迷いなく夢見ていました。

来る日も来る日も練習に明け暮れる日々。そんな中、高校の野球部で大きな壁にぶつかります。

それは繰り返す怪我でした。1年生の夏に膝の手術をし、冬に復帰するも足の疲労骨折によって再度離脱。2年生の春に復帰するも秋に腰痛を起こし、退部することを選択します。

この時に強く感じたことは≪努力できない怖さ≫です。怪我から復帰した時に遅れを取り戻そうと懸命に練習した結果、「疲労骨折」を招いてしまった。その後も、痛みが再発する怖さから思いっきり動けない。たくさん練習したいのに、怖くてできない。

この時に感じた「努力できない怖さ」は、色々なことを考えるきっかけになりました。好きなことに打ち込めないと、好きなことが苦痛になっていくこと。自分を見失っていく感覚は、何とも言えない感情でした。

EPISODE 02

好きなことを、
ちゃんと好きになること

トレーナーという仕事を選んだのは、スポーツで味わう「喜び」「悔しさ」「達成感」「仲間との一体感」「相手への敬意」といった感情の傍にいたかったからです。フィットネスクラブでトレーナーの仕事をはじめると同時に、アメリカンフットボールチームのトレーニング指導をする機会に恵まれ、チャンレジすることにしました。

学生主体で運営しているチームで、先生となる人は不在。チームの状態を観察しながら、トレーニングプログラムを作ったり、ストレッチをしたり、テーピングを巻いたりする、たくさんの経験をした時間でした。本やセミナーで勉強して、それを現場に活かす日々は続きました。選手と一体になって、夢中になってトレーニングに向き合い、結果的にチームがリーグ戦で優勝した時は、言葉にならないほどの喜びを感じました。あの時に胴上げしてもらった高揚感は今で覚えています。

実現したいことがある人の目標達成に、身体のプロとして寄り添いたい。そして、多くの感情を分かち合いたい。それこそがこの仕事の醍醐味ですし、そんな瞬間が私は好きなのです。

EPISODE 03

身体がもつ
影響力を痛感する

選手時代も、アスリートの指導をしているときも、常に怪我や痛みと隣り合わせだったように思います。

「怪我に強いコーチでありたい」そんな想いから、外傷に対して処置ができる「柔道整復師」の国家資格を取得することを決め、仕事をしながらも専門学校に通って怪我や体のメカニズムを学びなおすことにしました。 卒業後には整形外科に勤務し、外傷や痛みなどの疾患に向き合うキャリアも経験することに。

痛みがあって生活が不快になること、やりたいことができない辛さ、動かない関節のせいで不便を強いられること。身体の状態は、時に強引に気持ちを不安にさせること、何かを諦めさせる十分な理由を作ってしまうことを患者さんをみて強く感じました。

どうやったら、好きな活動に戻れるのだろうか。怖さなく活動ができるのだろうか。そんな想いで患者さんと向き合う時間でした。そして「症状の治療だけにも限界」があることも知れました。骨折後の状態が骨折前と同じになるわけではありません。靭帯損傷が前の状態と同じになるわけもない。

今ある身体に何ができるかを考えていく。パフォーマンスアップのトレーニングだけではなく、今の自分の身体と上手に向き合うことの大切さ。その観点を持ち始めたのは、このころからです。

身体が持つ影響力の大きさに気づき始めた日々です。

EPISODE 04

確信を
持ち始めてきたこと

整形外科から整骨院へ職場が変わったあるときのこと。症状の強いギックリ腰を起こした患者さんが来院されました。その患者さんは2週間後に海外旅行を予定しているから「なんとかしてほしい」とおっしゃいました。

そして、出発1週間前には患者さんは痛みなく動けるようになりました。ですが、やっぱり心配。長い旅先で腰痛が再発したら怖い。その不安がぬぐえず、旅行をキャンセルされました。

その不安まで拭うことができなかった私の未熟さを感じながら、確信にかわったことがありました。

それは ≪身体に対する安心感をつくることの大切さ≫ です。痛みの有り無しの先に「身体に対する安心感」が必要ということ。自分の身体を知って、大切にする。

旅行に行かないことも安心するための一つの選択です。ただ、「楽しみにしていたものを諦める」ことを想像してみてください。人生において、その時その瞬間でしか味わえないものがあると思うと、少し寂しさを感じてしまうのです。

トレーニングも治療も経験してきた中で、より広い視点で身体性を考えることが大切だと思うようになりました。そして、私が行うボディワークは、身体に安心感を作っていくものなのです。

EPISODE 05

身体がもつ
自然をしること

私は日々、身体のあり方を考えています。

解剖学者である養老孟司先生は自然を「意識的につくられていないもの」という定義のもと、身体もその自然の一部であるとおっしゃっています。私はこの考え方が好きです。

私たちは、身長や顔・声など人それぞれ違うに関わらず、形や機能はほぼ一緒の身体を持っています。実は、私たちの身体は多くの無意識な活動によって支えられています。心臓の鼓動や血圧、呼吸、身長や髪の毛が伸びることは意識的に変化させることは難しいですね。さらに、トイレに行きたいと思うことも、眠いと感じることも身体からひとりでに起きてきます。身体を意識的に動かせると思うかもしれませんが、それは身体のほんの一部でだけの話であって本来は意識的にコントロールできない部分が非常に多いのです。

海や空、台風などの自然を、意識的にコントロールできないことと、同じかもしれませんね。

身体に安心感を養っていくために必要なことは「身体がもつ自然を知ること」です。その身体がもつ影響力を無視しないこと、大切にすること。それが今を謳歌する支えになります。

そして、その自然を理解するために、 発生学や、発育発達、解剖学、などから今も学んで、考えています。

私のセッションでは、呼吸を自然な状態にすること、身体の動きを再教育することで、今抱えている問題、お困りごとを改善しながら、その先にある身体との向き合い方もお伝えしています。

そして、私自身も「身体と向き合う」実践者でありたいと考えています。